生活保護受給者には住宅扶助が支給されるため、生活保護受給者に部屋を貸すことは大家さんにとってもメリットがあることです。家賃収入は確保できますし、もしも使い込みなどにより家賃が滞ってしまったら、役所から直接振り込んでもらう形に変えてもらうことも可能です。コロナ禍を経て生活保護を受けている人に部屋を賃貸することで、空き室を出さずに不動産経営をしている大家さんもいらっしゃいます。
しかし、生活保護受給者に部屋を貸すことにはもちろんデメリットもあります。生活保護受給者のなかには困窮と同時に病気などの問題を抱えている人も多いため、家事が満足に行われずに部屋にごみがためこまれてしまうこともあります。
この記事では、生活保護受給者が大規模な清掃やリフォームが必要なほどに部屋を汚してしまったときの対処法を紹介しています。熊本市で賃貸経営をされている大家さんは、ぜひ読んでみてください。
【熊本市】生活保護受給者の部屋がごみで大変なことに!
生活保護を受けている人は困窮していることはまちがいありません。家庭環境などのバックグラウンドにさまざまな問題が見受けられる人も多くいらっしゃるようです。
生活保護を受けている人のなかには当然、仕事をすることが難しい人もいらっしゃいます。病気やケガなどの影響で日常の家事をすることも難しい人がいることも事実です。
私たちもちょっと体調を崩すと仕事や家事をすることが難しくなりますが、生活保護受給者の多くは日常的と言ってもいいほどにこのような状態で暮らしています。
このような状態で暮らしていると当然、掃除やごみ出しの頻度が減るため、部屋の環境は悪化の一途をたどります。この状態が続けば、ごみ屋敷とは言わないまでも、特殊清掃やリフォームが必要な状態にまで部屋が汚くなってしまうことは十分にあり得ます。
生活保護で汚れた部屋を片付けられるのか?
生活保護を受けている入居者が仮にごみをためこんでしまった場合、そのまま放置していても片付くことはないでしょう。これまでの経過を考えると入居者が自ら片付けることはないでしょうし、業者を呼んで片付けるにしてもその費用を負担できるとは考えられません。
そこで考えたいのが、「生活保護で片付け費用をまかなえないのか?」ということです。
生活保護では、食費や光熱費などの日常生活を送るために必要な費用のほか、住宅や教育、医療、介護などのための費用が支給されます。ただ、生活保護では最低限の費用しか支給されないため、部屋の片付けに関わる費用をまかなうことは、残念ながら不可能です。
条件はあるが「一時扶助」で片付けられる
ただ、条件はあるものの生活保護で汚れた部屋の片付け費用をまかなえることがあります。入居者が部屋を退去する場合です。
現在、入居している生活保護受給者が部屋を退去するにあたり「一時扶助」を申請すれば、その人は部屋の片付けに必要な費用をまかなえます。
ただ、この生活保護受給者は施設や病院に移る必要があります。一時扶助を受けるということは、そのあと住宅扶助が受けられなくなることを意味します。そのため、現在の部屋にとどまりたい方や住宅扶助を受けつづける必要がある方は、一次扶助を受けることはできません。
まずはケースワーカーに相談
いずれにしても、生活保護受給者に賃貸している部屋にごみがためこまれてしまった場合はケースワーカーに相談しましょう。
ケースワーカーは自治体の福祉事務所などで困っている人たちの問題を解決するサポートをしてくれる人材です。一次扶助を請求したり部屋を片付ける業者を選んだりするときもケースワーカーが関わります。
このような難しい問題は、当事者同士で解決できるようなものではありません。ケースワーカーに相談することで、ようやく解決への扉が開くと考えるべきでしょう。
【熊本市】生活保護受給者が部屋で亡くなってしまったら
入居していた生活保護受給者が部屋で亡くなってしまうことも考えられます。日本は高齢化社会になって久しく、孤独死も大きな問題になっています。孤独死が起きると、その部屋は特殊清掃が必要になることが多く、費用もかさむことになります。生活保護からこの費用は出るのでしょうか?
結論を言うと、特殊清掃の費用は生活保護ではまかなえません。生活保護受給者が亡くなると、その時点で生活保護自体が終了してしまうからです。
まとめ
生活保護受給者が部屋にごみをためこんでしまった場合、大家さんにできることは残念ながらほとんどありません。その人が退去し、そのあと住宅扶助を受けないのであれば、一次扶助で部屋の片付け費用をまかなえますが、まずはケースワーカーに相談しましょう。公的機関と協力しないと問題を解決に向かわせることは困難です。大家さんにとっては頭の痛いことですが、これしか方法はありません。